Webセントリックマーケティングのチカラ

経営戦略において真剣にWebセントリックマーケティングを考えてみよう

自社メディア戦略 ~いつまで続くか分からないプロローグ

■ いまさらながら

もう、世間が、ほぼ同じようなビジョンを発信しているし、
業界はソーシャルネタばっかりだし、
猫も杓子も次世代、次世代と叫んでいる中で、
このブログを更新するモチベーションがあまり高まらなくなってしまいました。
いまさら僕が書くまでもないと思います。
(単なる筆無精の言い訳でもありますが)

とはいえ、僕はやっぱり「自社メディア戦略」というものを
じっくり体系的に整理をしたいなぁと思いつつ日々を過ごしているわけですが、
日々、飲んだり、食べたり、あそんだり、仕事をしているのが忙しくて、
これがなかなかまとまらないのです。
「まとまったら本にしてやろう、、」という野望も胸に秘めつつも。

この辺りで識者たちからは、「ソーシャルはどうなんじゃ!?」みたいな
つっこみが入りそうなんで、あえて補足しておくと、
自社メディア戦略にはソーシャルの本質的な要件は内包しているという前提です。

今日のエントリーは、その「いくつ」まで続くかは分かりませんが、
自分の考えをまとめきる前のプロローグその1です。

■ 気がついたらもう、すっかりデジタルメディアに囲まれている

とにもかくにも、iPadが誕生してくれたおかげで、俄然、説明しやすくなった、というか、
人々がイメージしやすくなったのではないかと思う今日この頃。
何が企業にとっての自社メディア戦略なのか。
これは、別の言い方をすると、「何が企業のデジタルメディア戦略なのか」とほぼ同意。

企業は、スマートフォン、iPad、PC、デジタルテレビ、デジタルフォトフレーム、自動販売機という
多種多様なネットワークにつながったデジタルデバイスの上で、
わがままな顧客ニーズに合わせたアプリケーションやコンテンツを通して、
さまざまなサービスを提供し、顧客だろうと、顧客ではない人だろうと選り好みすることもなく、
ブランドとの関係作りを模索していかなければいけない。
というか、関係を作ることができるビッグチャンスが生まれました。

これらの接点の全ては、企業が自らコントロールできるのです。
どこの誰に、どんなサービスを、どのタイミングで、どこで、
どのように提供するかを決めることができます。
その人たちがどのような反応をしたかをトラックすることもできます。
そして、それぞれのサービスがどのような効果をもたらしているかを測ることができる、はずです。
そこで商品を売るも良し。カスタマーサポートをするも良し。一緒に商品を企画するも良し。
自慢し合うも良し。ストーリーをシェアするも良し。
ブランドにとって戦略的に優先順位の高いことに取り組めばよろし。

ざっくり言うと、こう言った全体像を描くのが
僕が言うところの「自社メディア戦略≒デジタルメディア戦略」であり、
各企業に必要なことだと思っています。

「3メディアx3スクリーン」なんて言われていますが、
マトリックスは、たぶん、9つでは足りないかな。

あんまり厳密に言われると、
「自社メディア戦略に店舗戦略は含まれるのか」とか、
「セミナーとかイベントとかどうすんだ」とか、いろいろとツッコミどころ満載なんですが、
ここは1つ、「デジタルメディア」にフォーカスしてみてください。

なぜなら、顧客とインタラクションを取って、
サービスや顧客との関係をネットワーク的に広めたり、強めたり、
そして顧客情報を取って活用し、理論上、全ての効果測定をしていくことが
ビジネスモデルを本質的に変える可能性があるからです。

これは店舗を無視すると言うことではなく、店舗内にデジタルメディアを設置するなり、
店舗内でのスマートフォンの活用などで、十分対応できます。

■ 自社メディア開発はコストではない

しかしながら、現状ではほとんどの企業は、
iPhoneやiPad、(レイヤーは異なるが)Facebookなどによって
新しく誕生した顧客接点を、「新たなコスト」だと捉えています。

「また新しいタイプのコンテンツを用意しなければ行けない」
「また新しいシステムを作らなければいけない」
「また費用が増える」

そうではないのです!

接触できなくなった顧客と、接触するチャンスが増えたのです。
テレビから離れた顧客と、スマートフォンを通して、話すことができるようになったのです
雑誌から離れた顧客と、iPadを通して、話すことができるようになったのです。

これは、まさにチャーンス到来なはずなのです!

むしろ、お客さまに対して、新しいエクスペリエンスを提供することができて、
とってもワクワクすることなわけです。
もし、競合他社に先駆けて、すっごいインパクトのあるエクスペリエンスを作り出せたら、
それはすごいアドバンテージになります。

繰り返しですが、ブランドの競争力を高めていくために、
こういったデジタルメディア活用の全体像を中長期的な視点で描き、
どのような順番で、何から着手していくかを計画していくことを、
自社メディア戦略として考えていきたいわけです。

ご興味のある方はご連絡を下さい。

2010.05.09 by sasaki

3メディアマップ ~Dellケース~

こんばんは。

Webセントリックマーケティングという言葉を、はばからず使い出すようになって、
かれこれ1年半以上、経過すると思います。

講演をさせて頂くと、それなりにお客さまから反応を頂き、関心を持ってもらえますし、
一緒に取り組もうとされるクライアントも出てきました。

特段に新しいことを言っているわけではなくて、
なんとなくみんなが考えていることを、大きな枠組みで整理をしているだけなんですけどね。

とはいえ、やっぱり曖昧模糊としている抽象的な概念ではあるので、
なにか分かりやすい事例を探したいなぁと思って、
先進的なことを一通りやっていそうな会社を調べてみたところ、
Dellがわかりやすかったので、簡単にまとめてみました。

スライドにある通り、Webセントリックマーケティング(最近、社内ではWCMと呼ぶ人も出てきました)を考えるためには、3つのメディアタイプを認識するところから始まります。

## しかし、SlideShareの日本語はひどく崩れてしまって使えませんね。。

  • 他社メディア(Third-party media)
  • 自社メディア(Owned media)
  • ソーシャルメディア(Social media)

企業は、これら3つのメディアを持っており、それぞれにおいて顧客と接する機会がわるわけですから、全体を俯瞰したメディア戦略が必要であると、WCMは説いています。

さらに特に注目したいのは、

  • ソーシャル化した自社メディア 例)自社運営の製品開発コミュニティー
  • 自社メディア化したソーシャルメディア 例)Facebook内での企業オフィシャルページ

という中間の存在です。

3つのメディアの利用状況を把握するのに、“3メディアマップ”を書いてみると良いと思います。
Dellの事例でマップを書いてみると、如何にDellが網羅的に3メディアを活用しているかがよく分かります。

<3メディアマップ ~Dellケース~>

3 Media Map, Dell Case

Dellの場合、他社メディアをトップにして右時計回りで説明すると、

  • 他社メディア:新聞広告、テレビCF、バナー、リスティング広告、自社配信アドネットワーク
  • 自社メディア化した他社メディア:CNET内の自社ブランドページ
  • 自社メディア:コーポレートサイトECサイト
  • ソーシャル化した自社メディア:IdeaStormDell ForumDirect2Dell 等のコミュニティーやブログ
  • 自社メディア化したソーシャルメディア:FacebookTwitterYouTubeの公式アカウント
  • ソーシャルメディア:Facebook、Twitterの生活者のクチコミ
  • ソーシャル化した他社メディア:Amazonなどのアフィリエート

となり、全てのメディアタイプにおいて顧客接点を作っていることになります。

もちろん、Dellの場合の最終目的地(Final Destination)は、ECサイトです。
どの流入経路からがもっとも効率的に最終目的地に顧客を誘導できるかをトラックし、
効果を最大化していくのがWCMの究極ゴールであります。

ぜひ、みなさんも、自分たちの会社の“3メディアマップ”を作ってみて下さい。

ただ、この3メディアマップは、これだけではまだ完成していません。
続きは、また今度。

2009.11.09 by sasaki

Digital Agency Of The Year - R/GA with Nike case -

ゴールデンウィークですねぇ。。

僕はずいぶんとリラックスした日々を過ごしていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?

さて、いまさらですが、2月にAdWeek が発表した Digital Agency Of The Year について、コメントを。。

先日、ネットイヤーセミナーで初めて、「自社メディア戦略」にフォーカスをして講演をしました。正直、自分自身もまだ完全に消化しきれていなかった面もあり、説得力に欠けていたかも知れません。

Digital Agency Of The Year 2008に選ばれた R/GA のCEO Bob Greenberg 氏は、

“There’s a couple different directions agencies will have to take,” says Greenberg. “There’s a difference between us and someone like Crispin Porter + Bogusky. We’ve taken the direction of building brand platforms rather than viral stunts or one-off things.”

と言っていて、この brand platform (ブランドプラットフォーム)というのが、まさに僕が言うところの「自社メディア戦略」と合致します。

## ところで、Greenberg 氏のこのコメントはけっこう挑発的で好きです。Crispin Porter + Bogusky は、あの有名なバーガーキングのクレージーなチキンのバイラルキャンペーンを仕掛けたところですが、その彼らに対して、”ある種無謀で、一発モノで偶発的なクチコミを仕掛けるようなエージェンシーとは、うちは違うんだ”と言っています。

個人的にはR/GAが目指している姿は、大きな部分で共感できるものがあります。それをエージェンシーとか、広告会社とか、ウェブインテグレーターと呼ぶのかはわかりませんが、少なくとも、

「クライアントのブランドを強めるために、ネットワークテクノロジーを使って新しいサービスや商品を、消費者に提供するプラットフォームの戦略立案からクリエイティブ、実装、運営、展開までを行なう会社」

は求められていると思います。

この取材では、Nike+の事例が紹介されています。「iPodを使って、みんなで走る体験を共有しよう」ということですが、これが単に期間が決まった単発モノのキャンペーンではなくて、継続的なプラットフォームであることが重要です。日本のクライアントだと、どうしても「この夏のキャンペーン」という切り口で終わってしまいがちですよね。

そうではなくて、「走る体験を共有する」「走ることで自分が成長する」「実際に知らない人と一緒に走る」、そして最後に「気持ちよかった!!」という充実感や自己満足感、達成感を感じてもらうことこそがナイキのブランドそのものなわけですから、Nike+は”限定的なキャンペーン”ではなくて、継続的な”サービス”として提供すべきなんですね。

つまり、僕たち(新しいタイプのマーケティング会社を思考している人たち)は、クライアントのブランドの本質を捕らえ、どういったブランド体験を顧客に提供し続けることが、ブランドの強化に繋がるのかビビッドなプランにして、それを卓越したクリエイティブとテクノロジーで具現化する力を持ち、さらにそれを運営し、拡張、展開していくビジネスセンスを発揮しなければならないのだと思います。

2009.05.04 by sasaki